ポーターの5フォースモデルとは、「なぜこの業界は儲からない(あるいは儲かる)のか?」という問いの答えであり、本質的に「自社の利益を削り取ろうとする5種類の圧力」を理解するために学ぶ必要がある。
これは単なる項目暗記ではなく、「誰が自社の財布から利益を奪いに来ているか」という犯人探しのイメージがすべてである。
これにより「事例企業の収益性が低い原因の特定」が可能になる。
このテーマを習得する最短ルートは、まず「自分の身近な業界(カフェなど)で5つの敵を特定する」ことを設定することだ。
知識を「競争激化の要因判定」に直結させ、「どうすればその圧力を回避できるか(競争戦略)」へと逆算して繋げる。
👨🏫 森谷Tの中小企業診断士試験対策用板書
🕵️♀️ 利益を奪う「5人の犯人」を探せ!
経営戦略の神様、マイケル・ポーター教授が提唱した「5フォースモデル」。 これは、業界の収益性(その業界が儲かりやすいか、儲かりにくいか)を分析するための最強ツールです。
多くの人はライバル企業(競合)ばかりを気にしますが、実は敵は5方向からやってきます。自社の利益を圧迫する5つの要因、それが5つの競争要因(5フォース)です。
- 既存業者間の敵対関係(目の前のライバル)
- 新規参入企業の脅威(新しいライバル)
- 代替品の脅威(別ジャンルからのライバル)
- 売り手の交渉力(仕入先からの圧力)
- 買い手の交渉力(お客さんからの圧力)
これら5つの力が強いほど、その業界は競争が激しく、儲かりにくい(収益性が低い)ということになります
🔥 1. 既存業者間の敵対関係(骨肉の争い)
まずは、すでに業界内にいるライバル同士の争いです。ここが激しいと、価格競争になり利益が削られます。 試験で最も問われるのは、「どんな時に競争が激化するのか?」という理屈です。以下の7つの要因は必須知識です!
- 同業者が多い・規模が拮抗している: 1強がいれば平和ですが、同じくらいの強さがたくさんいると泥沼化します。
- 市場の成長が遅い: パイが大きくならないので、今あるパイの奪い合いになります。
- 固定コスト・在庫コストが高い: 設備投資が大きい産業(鉄鋼など)や腐る商品(生鮮)は、赤字でも売り切ろうとして値下げ競争が起きます。
- 製品の差別化が難しい: 水やガソリンのように、商品に差がないと価格で勝負するしかなくなります。
- キャパシティ(生産能力)を小刻みに増やせない: 一度に巨大工場を作る必要があると、供給過剰になりやすく、安売り合戦が始まります。
- 撤退障壁が高い: ここ重要! 設備廃棄にお金がかかるなどで「辞めたくても辞められない」場合、赤字企業が居座り続け、死に物狂いで安売りを仕掛けてくるため、業界全体の競争が激化します。
🚀 2. 新規参入・代替品の脅威(外からの刺客)
新規参入企業の脅威
新しい会社が入ってくると、パイの取り分が減ります。
- 参入障壁が低い(誰でも簡単に始められる)業界は、すぐに競争が激しくなります。
- 逆に、特許や巨額の投資が必要で参入障壁が高い業界は、既存企業にとって守られた(儲かる)市場です。
代替品の脅威
全く違う業界から、ニーズを奪われるパターンです。
- 例: 「メガネ業界」にとっての敵は、他のメガネ屋だけでなく、「コンタクトレンズ」や「レーシック手術」も脅威です。これらが代替品です。
- 代替品の性能が良く価格が安いと、業界の収益性は下がります。
🤝 3. 売り手・買い手の交渉力(板挟みの恐怖)
ビジネスは「安く仕入れて、高く売る」のが基本ですが、取引相手の力が強いとこれができません。
売り手の交渉力(供給業者)
- どんな時強い?
- 部品メーカーが特許を持っている、または独占状態である。
- 供給業者の製品が、自社製品の品質に決定的な影響を与える場合(例:パソコンにおけるCPUメーカー)。
- 結果: 仕入れ値が高くなり、こちらの利益が減ります。
買い手の交渉力(顧客)
- どんな時強い?
- 顧客が大規模な流通チェーン(巨大スーパーなど)で、大量に買ってくれる場合。「もっと安くしないと他から買うよ」と値切られます。
- 商品がコモディティ化(差別化されていない)しており、誰から買っても同じ場合。
- 結果: 販売価格が安くなり、こちらの利益が減ります。
💡 まとめ:業界分析の視点
今回の要点は、「5つの力が強い=業界の魅力度(収益性)が低い」という公式です。 特に「撤退障壁が高いと競争は激化する」という逆説的な理屈は、試験でよくひっかけ問題として出るので注意しましょう!
💡 森谷Tの定着度チェック問題!(全3問)
【問題1:敵対関係の激化要因】
既存業者間の競争(敵対関係)が激しくなる要因として、誤っているものを1つ選びなさい。
- 市場の成長速度が遅い(成熟産業である)
- 製品の差別化が困難で、コモディティ化している
- 業界からの撤退障壁が低い(簡単に辞められる)
- 固定コストや在庫コストが高い
【解答1】
3. 業界からの撤退障壁が低い(簡単に辞められる) (補足:簡単に辞められるなら競争は緩和されます。辞められない(障壁が高い)と過当競争になります。)
【問題2:5つの力と収益性】
ポーターの5フォース分析において、ある業界の分析結果が以下のようになりました。この業界の収益性(儲かりやすさ)についての判断として最も適切なものはどれですか? 「新規参入障壁が低い」「代替品の脅威が大きい」「買い手の交渉力が強い」
- 収益性は高くなりやすい
- 収益性は低くなりやすい
- 収益性は変化しない
【解答2】
2. 収益性は低くなりやすい (補足:脅威や交渉力が「強い」場合、自社の利益は圧迫されるため、収益性は低くなります。)
【問題3:売り手の交渉力】
あなたがパソコンメーカーだとします。CPU(重要部品)を供給してくれるメーカーA社が、その分野で圧倒的な特許技術を持っており、他社では作れない高性能な部品を独占しています。この場合、A社(売り手)の交渉力はどうなりますか?
【解答3】
強くなる(高まる) (補足:差別化された製品や特許を持つ供給業者は、価格決定権を握りやすいため交渉力は強くなります。)

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